2024.09.03住まいのヒント
令和6年8月8日に宮崎県日向灘で起こった地震の後に、南海トラフ地震臨時情報が発令されるなど、大地震への備えを進めている人も多いのではないでしょうか。
日本は世界でも有数の地震大国として知られており、地震対策に関心をもつ人が非常に多いです。
これから戸建などのマイホームを建築するまたは購入する人にとって、建物にどういった地震対策がされているかは重要なポイントと言えるでしょう。
建物の地震対策には主に「耐震」、「制震」、「免震」の3つの方法があります。
今回の記事では、それぞれの特徴やメリットについて詳しく解説します。
耐震とは、建物自体の強度を高めることで地震に耐えて倒壊を防ぐ工法です。
戸建では木造が多いですが、柱や梁、壁などの主要な構造部分を強化することで、地震のエネルギーを吸収し、建物全体の安定性を保ちます。
中でも耐力壁の強度アップは効果が高く、同時に接合部の強化を行うことで相乗効果を得られます。
耐震のメリットは、比較的低コストで実施できる点です。
他にも工期が短い、設計の自由度が高いといった点もメリットと言えます。
中古物件でも適用できるので、改修工事を行うことで耐震性能を向上させることができます。
しかし、耐震だけでは大規模な地震に対して完全とは言えないため、他の対策と併用するほうがよいでしょう。
また、2000年以降に建築された戸建については、耐震等級を取得している物件が増えています。
耐震等級は、2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」において新たに設定された耐震性能の指標です。
等級1~3まで3段階に分かれており、等級が上がるほど耐震性能も上がります。
等級1は、新耐震基準と同等の基準です。
新耐震基準では、「数百年に一度程度発生する規模の地震による力(東京における震度6強~7相当)に対して、倒壊・崩壊しない」、「数十年に一度程度発生する規模の地震による力(東京における震度5強相当)に対して、損傷を生じない」といった基準を満たす必要があります。
新たに建築する建物においては、等級1の基準を満たさないといけません。
等級2は、等級1の1.25倍、等級3は等級1の1.5倍の耐震性能が必要です。
制震は、建物に制震装置を取り付けて、地震の揺れを吸収・減衰させる工法です。
制震装置にはダンパーや制震ブレースなどがあり、これらの制御装置が地震のエネルギーを吸収して建物の揺れを抑えます。
制震のメリットは、建物の揺れを大幅に減少させることができる点です。
これにより、建物内部の家具や設備の被害を軽減し、居住者の安全を確保できます。
他にも台風などの風に強い、メンテナンスが容易といった点もメリットと言えます。
また、耐震や免震と比べて繰り返し効果を発揮できるだけでなく、制震装置は比較的簡単に設置できるため、新築だけでなく既存の建物にも適用が可能です。
耐震と制震は組み合わせしやすく、ローコストで大きな効果を得ることができます。
免震
免震は、建物と地盤の間に免震装置を設置し、地震の揺れを建物に緩やかに伝える工法です。
免震装置には、ゴム製のベアリングやスライダーなどがあり、これらの免震装置が地震のエネルギーを吸収し、建物の揺れを最小限に抑えます。
免震の最大のメリットは、地震の揺れをほぼ完全に遮断できる点です。
建物内部の被害を最小限に抑え、居住者の安全を確保できます。
ただし、免震装置は戸建てに設置するにはかなりの高コストと言えるので、ほぼ採用されていないのが現状です。
耐震、制震、免震の3つの地震対策は、それぞれに異なる特徴とメリットがあります。
戸建の場合はコスト面を考えると耐震または制震が実用的です。
耐震と制震は併用できるので、上手に組み合わせることで建物の地震対策をより効果的に行えます。
地震の多い日本では、大事な家族を守るためにも地震対策は非常に重要です。
これから戸建てを購入する人は、どういった地震対策をしている建物かを確認した上で検討してください。