2024.07.26住まいのヒント
高断熱住宅の基準である「HEAT20」をご存じでしょうか。
HEAT20は運営団体の名称で、高断熱住宅について国の基準とは別にG1・G2・G3の独自の基準を設けています。
断熱性能には、「ZEH」や「H28省エネ基準」といった基準もありますが、HEAT20では体感温度を重視しているのが特徴です。
今回は、高断熱住宅の基準であるHEAT20について詳しく解説します。
HEAT20は、一般社団法人「20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」の略語です。
低環境負荷・安心安全・高品質な住宅・建築の実現に向けてさまざまな研究、開発と普及の定着を図ることを目的として設立されました。
住宅など建物の断熱性能は、一般的にはU値(熱貫流率)、λ値(熱伝導率)、UA値(外皮平均熱貫流率)で表します。
しかし、HEAT20の住宅外皮水準G1・G2・G3では、住宅省エネ基準のようなUA値を満たすことではなく、地域区分ごとに規定した4つの基準を満たすことを目指しています。
G1・G2・G3とグレードが上がるごとに基準値も高くなります。
地区地域の区分と4つの基準は以下のとおりです。
地域の区分 | 1・2地域 | 3地域 | 4地域 | 5地域 | 6地域 | 7地域 |
---|---|---|---|---|---|---|
およその地域 | 北海道 | 東北 | 東北・北関東 | 関東・東海・近畿・中国 四国・九州 |
南九州 | |
代表都市(例) | 札幌 | 盛岡 | 仙台・松本 | 宇都宮 | 東京・大阪・兵庫 | 鹿児島 |
①. 暖房期最低室温(OT)・3%タイル値
②. 暖房室温(OT) 15℃未満の面積比割合
③. 平成28年省エネ基準からの暖房負荷削減率
④. 平成28年省エネ基準における間歇暖房時の暖房負荷に対する全館連続暖房としたときの暖房負荷削減率
※①~④の詳細データについては下記のURLをご参照ください。
参考②;http://www.heat20.jp/grade/
参考②:http://www.heat20.jp/HEAT20_pamph2018.pdf
GI基準では、暖房期最低室温(OT)・3%タイル値において1・2地域で概ね13℃を下回らない、3~7地域で概ね10℃を下回らない性能が必要です。
また、外皮平均熱貫流率を表すUA値は、1・2地域においてH28省エネ基準で0.46ですがG1基準では0.34に設定されています。(UA値は低くなるほど性能が高い)
非暖房室において表面結露が発生しないレベルを想定しており、省エネ性能と費用面のバランスが良く、一般の家庭でも採用しやすい基準と言えます。
G2基準では、暖房期最低室温(OT)・3%タイル値において1・2地域で概ね15℃を下回らない、3~7地域で概ね13℃を下回らない性能が必要です。
また、外皮平均熱貫流率を表すUA値は、1・2地域においてG2では0.28に設定されています。
室内の温度むらを小さくすることで住まいの暮らしやすさの向上や温度ストレスの負担を無くすことを想定しています。
基準を満たすには、G1と比べるとコストはかかりますが、日常生活における温度差が少ないので健康面や生活のしやすさを重視する人におすすめです。
G3基準では、暖房期最低室温(OT)・3%タイル値において1・2・7地域で概ね16℃を下回らない、3~6地域で概ね15℃を下回らない性能が必要です。
また、外皮平均熱貫流率を表すUA値は、1・2地域においてG2では0.20とかなり厳しい水準に設定されています。
G3基準を満たすにはかなりのコストがかかるので省エネ、断熱性において最高水準の家で過ごすことができます。
オシャレな印象のアイランドキッチンですが、意外とハードルが高い面もあるので注意が必要です。
快適なキッチンを実現するために、施工会社に相談して工夫しましょう。
今回は、高断熱住宅の基準HEAT20(G1・G2・G3)について解説をしてきましたがいかがでしたでしょうか。
国が定める断熱性能には、「ZEH」や「H28省エネ基準」がありますが、HEAT20はより高性能です。
今後は新築する建物については最低限の省エネ性や断熱性の高さが必要であることを考えると、高水準のHEAT20(G1・G2・G3)で建築するのは資産性の面でも大きなアドバンテージと言えます。
これから戸建の新築を検討されている人はHEAT20(G1・G2・G3)を検討してみてはいかがでしょうか。