2024.03.26住まいのヒント
地球の温暖化などによる環境変化を抑えるため、世界では2050年にCO2排出実質ゼロを目指すための取り組みが盛んです。
東京都では、2030年までに温室効果ガス排出量を2000年比で50%削減するために、カーボンハーフという目標を掲げ、2025年4月から新築には太陽光発電システム設置を義務化されます。
こういった流れの中、令和6年4月1日より、改正建築物省エネ法に基づいて「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」といった新しい制度が始まります。
「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」では、住宅・建築物を販売・賃貸する事業者に『省エネ性能ラベル』の表示の努力義務が課せられます。
今回は、令和6年4月から始まる建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度について解説します。
建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度は、建築物の省エネ性能を販売・賃貸事業者が広告等で公表することで、 消費者が建築物を選ぶときに、省エネ性能を理解しやすくなる、他の建築物と比べることができるようにする制度です。
住まいやオフィス等を買う・借りる人が省エネ性能に注目することで、 省エネ性能の高い住宅・建築物が市場に増えることを目指しています。
対象となる事業者は、建築物の販売業者及び賃貸事業者になります。
対象となる建物は、主に2024年4月1日以降に建築確認申請を行う新築建築物です。
その物件が、同時期以降に再販売・再賃貸されるときも対象になります。
確認申請の必要がない建築物の場合は、2024年4月1日以降に着工したものが対象です。
対象住宅 :「分譲一戸建て」「分譲マンション」 「賃貸住宅」「買取再販住宅」など
非住宅では、「貸し事務所ビル」「貸テナントビル」など
対象外住宅 :「注文住宅」「自社ビル」など
建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度では、「省エネ性能ラベル」と「エネルギー消費性能の評価書」が発行されます。
省エネ性能ラベルは、ポータルサイトやチラシなどの広告に使用するラベル画像で、エネルギー消費性能の評価は、建築物の概要と省エネ性能評価を記した保管用の証明書です。
発行の方法は誰が評価するかによって変わります。
自己評価の場合、販売・賃貸事業者が住宅性能評価・表示協会のホームページから発行することができます。
第三者評価の場合は、販売・賃貸事業者が評価機関に申請することで交付されます。
省エネ性能ラベルについては、住宅か非住宅かで、省エネ性能ラベルの種類が変わるので注意が必要です。
住宅の場合は以下の9項目が必要になります。
① エネルギー消費性能
国によって定められた省エネ基準に対して、どの程度消費エネルギーを削減できているかを見る指標(BEI)を星の数で表示します。
② 断熱性能
断熱性能は、「建物からの熱の逃げにくさ」と「建物への日射熱の入りやすさ」の2つの点によって評価されます。
③ 目安光熱費
住宅のエネルギー効率に基づいて計算された電気やガスなどの年間消費量に対して、全国統一の燃料価格を掛け合わせた1年間の光熱費を目安として表示します。
④ 自己評価・第三者評価
省エネ性能の評価を自己評価、第三者評価のいずれが行っているかを表示します。
⑤ 建物名称
省エネ性能の対象となる建物の名称を表示します。場合によっては、棟名や部屋番号の記載が必要です。
⑥ 再エネ設備あり/なし
太陽光発電・太陽熱利用・バイオマス発電といった再エネ設備が設置されている場合に「再エネ設備あり」の表示が可能になります。
⑦ ZEH水準
エネルギー消費性能や断熱性能を達成することで表示が可能になります。
⑧ ネット・ゼロ・エネルギー(ZEH)
ネット・ゼロ・エネルギー(ZEH)を表示する場合は、第三者評価(BELS)が必要です。
ZEH水準を達成し、太陽光発電の売電分を含んだ年間のエネルギー収支がゼロ以下を満たすと表示が可能になります。
⑨ 評価日
省エネ性能をいつ評価したかを表示します。
今回は、令和6年4月から強化される「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」について解説しましたがいかがでしたか。
省エネ、脱炭素は世界的な流れとなっており、今回の新しい制度では、一般の消費者が省エネ性能について正確な判断ができるように築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示が努力目標としてスタートします。
これから新築のマイホームの購入や賃貸の部屋探しを検討している人は、省エネ性能表示制度がきちんと表示されているか、どういった内容が記載されているかを確認しておく必要がありますね。